疥癬(かいせん)、ご存じですか?
体中に散在する赤いブツブツや強いかゆみに悩まされて来院された患者様に、この病気を疑って検査をすることがあります。
この疥癬とは、ヒゼンダニ(疥癬虫)が皮膚に寄生して起こる病気です。
ヒゼンダニは肉眼では見えません。卵が3~4日でかえって幼虫になり、若虫、成虫となります。そのライフサイクルは10~14日間です。
メスの成虫が、人の手のひらや手首、指のあいだ、肘、わきの下、足首や足の裏、外陰部などに疥癬トンネルと呼ばれる横穴を掘り、卵を産みつけます。
ヒゼンダニの生活環境には人の体温が適しており、人肌から離れると長く生きられません。
感染経路は、家族間・病院・治療院・施設や寮など集団生活の場・当直室などがあげられます。
疥癬の種類
●通常疥癬・・・寄生しているヒゼンダニは数十匹以下で強いかゆみを伴なう赤いブツブツを生じます。直接肌と肌の接触が長時間あった場合や、感染者が使用した寝具や衣類をそのまま使い回すと感染することがあります。
●角化型疥癬(ノルウェー疥癬)・・・ヒゼンダニの寄生数は100万~200万で感染力は強く、垢が増えたような(角質増殖)状態になります。短時間の接触や、衣類・寝具を介しても感染します。また、皮膚から剥がれ落ちた垢(角質)にも多数のダニが含まれるため、感染源になることがあります。
検査
疑わしいブツブツを角層ごとピンセットやハサミで採取し、顕微鏡で卵や虫体の存在を証明して確定診断となります。
治療
ヒゼンダニを退治するための飲み薬(体重あたりで処方量を決定)や塗り薬を使います。また、かゆみ止めの飲み薬を使うこともあります。
疥癬の皮膚症状は一般的な湿疹と異なりステロイド剤では悪化してしまいます。お手持ちの塗り薬で改善が見られない場合や強いかゆみで眠れないかたなど、お困りの際はお早めにご相談ください。
2021年2月18日6:21 PM